【感染性胃腸炎とは】
感染性胃腸炎とはウイルスや細菌の感染が原因になって吐き気や嘔吐、下痢・腹痛などの急性の胃腸炎症状を引き起こす病気です。
1.感染性胃腸炎の原因
ノロウイルスなどのウイルス性感染性胃腸炎は、特別な抗ウイルス薬はなく、予防のためのワクチンもありません。働き盛りの人が感染した場合、症状は2~3日で自然に治るのですが、市販の下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスを体外に排出することができなくなり症状が長引きます。また、体力をつけるつもりで無理に食事をすると、弱った腸の炎症がさらに悪化し、下痢や嘔吐の症状が激しくなります。
2.感染性胃腸炎の症状
腹痛、下痢、嘔吐、胃痛・胃痙攣、頭痛、発熱があります。 時に上気道炎症状(咳や鼻水)を伴うこともあります。 下痢は水様便などで時に血便を呈することもあります。 この際特に注意しなければならないのは脱水症状です。下痢や嘔吐による水分喪失に加え、飲水が出来ず、また発熱による不感蒸泄の増加もあり、脱水は要注意です。特に老人や幼児の場合、自覚症状が出にくいこともあり、全身倦怠感の訴えやぐったりした時などは、脱水を考え早目に医療機関を受診することをおすすめします。
3.ウイルス性胃腸炎の特徴
①ノロウイルス
ノロウイルスは赤ちゃんからお年寄りまでの幅広い年齢層がかかるので、集団感染の恐れもあり十分な注意が必要となってきます。このウイルスの症状は、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐・発熱・脱水症状が挙げられます。流行時期は秋の終わり頃~冬の中頃までで、発症期間は1~2日間ほどで治まります。
②ロタウイルス
乳幼児に多く認められ、下痢便が白色になることもあります。ロタウイルスは増殖力と感染力が強いウイルスで、わずか10~100個くらいのごく微量のロタウイルスが口から入ることで感染します。このウイルスの症状はノロウイルスと似ていますが、順序的に吐き気・嘔吐→腹痛・下痢(脱水)、または吐き気・嘔吐→頭痛・発熱といった流れになります。流行時期は冬の中頃~春先までで、潜伏期間は2~4日、発症期間は1~2週間という長期間におよびます。大人が感染した場合、排泄した下痢が白っぽくなりますが子供ほどの重症にはなりません。
③腸管アデノウイルス
乳幼児に多く、夏場でも見られることがあります。症状としては比較的軽症の事が多い様です。このウイルスの特徴として、胃腸炎のみではなく喉(咽頭炎)・眼(結膜炎)・発熱(高熱)を発症するところが特徴です。流行時期は基本一年通じてですが特に夏場の発症率が高いです。
4.感染の仕方
ロタウイルスは経口感染で、保育園などでの集団感染がみられます。ノロウイルスは食べ物(生カキやホタテ貝などの二枚貝やサラダ、汚染された飲料水など)や調理人の手などを介して感染し、成人でのウイルス性食中毒の原因の大半を占めます。ノロウイルス感染症では症状がなくなった後も2週間も糞便中にウイルスを放出し続けるとされ、周囲への感染は要注意です。このため家族も十分手洗いすることを心掛けてください。また細菌性では食品に付着、増殖した細菌により感染するものでヒトからヒトへの感染はウイルスよりも起きにくいとされています。なお、感染してから症状が出るまでの潜伏期間はウイルスで1~3日、カンピロバクターを除く細菌では数時間~十数時間で起きることが多いとされています。嘔吐物や下痢に含まれるウイルスは、数時間の間、空中に漂うといわれ、嘔吐物の近くを通ったり、下痢をした人の後にトイレに入ることにより、ウイルスを吸入することも原因の一つとされています。
5.治療
病状に応じて、整腸剤、制吐剤、抗生物質、解熱剤などを服用していただきます。吐き気が強くない限り、絶食中もお薬は服用してください。ウイルス性胃腸炎にはインフルエンザなどと異なり有効な抗ウイルス薬がないので主に対症療法になります。細菌性は抗菌薬の投与が有効です。下痢に対しては下痢止めを使っても治療期間は短くならないとの報告がありますので、下痢止めの使用は必要時以外は控えましょう。整腸剤を主として服用して頂きます。
ウイルス性では一般に3~4日程度で症状は自然に寛解します。ただし老人や幼児などでは重篤化することもあり注意が必要です。 吐き気だけではなく、胃も軽くなりまた、胃の動きを助けてくれるので胃痛も軽減しれくれます。