むくみ(浮腫)

 「むくみ」は、なんらかの原因によって皮膚の下に水がたまった状態のことを言います。立ち仕事がながいときに足がむくむ、お酒を飲みすぎた翌朝に顔がむくむ、といったことは日常的にも起こります。むくみの原因はいろいろあります。女性は生理前や生理中にむくむ事が多く、ふだんとうりで気にしないこともあります。また、塩辛いものを大量に食べたり、お酒を飲みすぎた翌朝にむくみが出るという経験をしたことがある人も多いはずです。このような病気でなくても多少むくむことは誰にでもよくあります。しかし、中には病気によって引き起こされているむくむである病的浮腫もあります。通常のむくみであれば数日以内にとれるものですが、何日もむくみが続く場合や、むくみが現れるとともに急激に3㎏以上体重が増加した場合には、病的浮腫が疑われます。

 

 この病的浮腫は痛みがなく日常生活に支障をきたさないため放置されてしまいがちですが、病気の存在を知らせてくれる大切なサインです。 肝臓、腎臓、心臓、低栄養などさまざまな原因が考えられます。明らかに普段と違うむくみ方や、異常なむくみを感じたとき、なかなか改善しないときは、ぜひ受診してください。


しびれ

 

 

しびれ」の原因は、脳や脊椎、末梢神経、内科的疾患などさまざまです。

しびれには、手や足に力が入りにくくなる運動麻痺と長く正座した後のようにジンジンする異常な感覚の場合とがあります。運動麻痺だけのこともあれば、感覚の異常だけのこともあります。また、両方の障害が同時に起ることもあります。

脳から手足を動かす命令を伝える運動神経の経路が病気で侵されると、思うように手足の筋肉に力が入らなくなったり、筋肉がやせ衰えてきたりします。手足の感覚を脳に伝える神経の経路に病気が起これば、感覚が麻痺したり、刺激されて何も触れていないのにジンジンしたりします。

いろいろな病気で運動神経や感覚神経が傷つきますが、病気によって、脳が侵されることもあれば、脊髄が障害されることもあります。侵される部位によって、しびれの原因はさまざまです。

問診、診察を十分におこない、しびれの原因を特定し治療をおこないます。


めまい

めまいの原因として、内耳性めまい(三半規管の障害によるめまい、正確には前庭機能障害)が最も多く見られます。中には脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血ほか)や心臓疾患などもあります。また薬剤性、高血圧症、脱水症、不整脈、起立性低血圧症、熱中症、各種神経難病、低血糖症、貧血、外傷後頸部症候群、頸性めまい、鼻性めまい、心身のストレスなどもめまいの原因になります。

 

めまいだけには限りませんが、診断上、問診と診察が最も重要です。めまいのほかに激しい頭痛、呂律が回らない、手足が動かない、しびれ、意識障害が急に生じた場合は、脳病変による疑いがあります。一方、同時に耳鳴り、難聴が生じている場合は内耳性めまいを疑います。しかし、代表的な内耳性めまいである良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎では、めまい発作時に耳鳴りや難聴はみられません


熱中症/脱水症

 

 

 熱中症とは、気温が高い環境で生じる健康障害の総称です。体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温調節が働かなくなり、体温上昇、めまい、倦怠感、けいれんや意識障害などの症状が起こります。

熱中症は炎天下特有のものではなく、湿気の多い時期、日中だけではなく夜間、屋内でも起こる可能性があります。気温が高い、ムシムシする、日差しがきつい、風がない、急に熱くなった時は、体の熱を体外に放出できずに体を冷やせない状況になり注意が必要です。

 

 脱水症とは、水と電解質(塩分が水に溶けたもの)で構成される体液が汗で失われ、その補給ができなくなります。血液の量が減少して血圧が低下します。そして必要な栄養素が体に行き渡らなくなり、不要な老廃物を排出する力も低下します。骨や筋肉から電解質が失われると脚がつり(こむら返り、からすがい)、しびれが生じます。

 

 脱水症が進行するまで明確な症状が出にくく、早い段階で有効な対策がとれない場合が多いのです。高齢者の熱中症/脱水症予防が必要になってきます。高齢者が脱水症をおこしやすい環境をできるだけ改善し、外気との温度差がある環境での体温調整の工夫が必要です。食事などで体力を保持することが大切です。座って立ち上がるときにふらついていたり、お話ししていて口が重くなったり、おしっこの回数がいつもより減っている、尿の色が濃くなっている場合は脱水の可能性があります。困ったときはご相談ください。


肩こり(五十肩)/腰痛(腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症)

 

 

【肩こり】

 

首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴うことがあります。肩こりに関係する筋肉はいろいろあります。首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉が原因であることが多いです。首や背中が緊張するような姿勢での作業、猫背、前かがみ、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。

 

 

【五十肩】

 

肩関節が痛み、関節の動きが悪くなります。動かす時に痛みがありますが、あまり動かさないでいると肩の動きが悪くなってしまいます。髪を整えたり、服を着替えることと痛みが出てきます。夜中にズキズキ痛みます。中年以降、特に50歳代に多くみられます。関節、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因です。圧痛の部位や動きの状態で診断します。痛みがあるときは、消炎鎮痛剤の内服、注射などが有効です。

 

 

【腰椎ヘルニア】

 

腰や臀部が痛み、下肢にしびれや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。背骨が横に曲がり、動きにくくなり、重いものをもったりすると痛みがつよくなることがあります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。下肢伸展挙上試験や下肢の感覚が鈍いかどうか、足の力が弱くなっていない確認して、診断します。痛みが強い時期には、安静を心がけ、消炎鎮痛剤の内服や坐薬の投与を行い痛みをやわらげます。腰を温めると症状が和らぎますので試してみましょう。

 

 

【脊柱管狭窄症】

 

この病気は長い距離を続けて歩くことができません。つまり症状は、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。腰部脊柱管狭窄症では腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、すこし前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは軽減されます。加齢、仕事によって変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。

脊柱管は脊髄神経が通ります。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだりして脊椎神経の通る脊柱管が狭くなって、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。

椎間板ヘルニアに比べ中高年に発症することが多いです。また背骨を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり、前に曲げると広がるので、間歇性跛行が起こります。

みなさん腰痛には気を付けてください。
みなさん腰痛には気を付けてください。

糖尿病 (1型糖尿病、2型糖尿病)

 

 

糖尿病は、血糖値を下げるインスリンという内分泌ホルモンが不足したり働きが悪くなったりするために、血液中の血糖値を正常に保てず高血糖の状態になる病気です。高血糖が長期間続くと動脈硬化が進みやすく小さな血管が損傷され、脳梗塞・心筋梗塞・失明・腎臓の機能低下(人工透析)などさまざまな合併症が引き起こされます。 

 

 糖尿病は1型と2型のに分けることができ、その多くが2型糖尿病と呼ばれるタイプで、肥満や生活習慣と深い関わりがあります。一方で、1型糖尿病は感染症や免疫異常などをきっかけに内蔵臓器である膵臓が適切にインスリンを分泌することができなくなることで高血糖となる病気です。 軽度の糖尿病は自覚症状に乏しいため検診などの検尿や採血検査で初めて指摘されることが多いです。また、口渇・多尿・倦怠感・体重減少なども糖尿病で見られる症状であり、これらの症状がある場合には糖尿病の検査を受けられることをお勧めします。


高血圧(本態性高血圧、2次性高血圧)

 

 血圧が高くなった病態です。血圧が140/90mmHg以上(自宅血圧は135/85mmHg以上)の状態を指します。高血圧症を起こす原因はいくつもありますが、多くの人の場合は原因が不明(本態性高血圧という)です。高血圧症でなにか症状が出るということはあまりありませんが、高血圧症が長期的に持続すると心筋梗塞や脳出血などの他の病気を発症する危険性が増加します。 診断のために、問診、家族歴、身体診察、血液検査などを行います。高血圧症を治療するには生活習慣を見直すことも大切です。また、生活習慣を改善しても血圧の高い場合は降圧薬を用いて治療します。高血圧症が心配な人や治療したい人はご遠慮なく当院に受診しに来てください。

高血圧 2次性高血圧 自宅血圧
毎日血圧を測りましょう!!

脂質異常症(高脂血症)

 

 脂質異常症(高脂血症)は一般的な病気で、特に症状は出ませんが健康診断などでコレステロール値(LDL-コレステロール、HDL-コレステロール)や中性脂肪値(TG)が高いと指摘されたことのある方は多いのではないかと思います。とても一般的な病気であるため、専門医でなくとも一般的な治療は十分に行うことができます。 診断は血液検査で行います。コレステロール値や中性脂肪の値が高い場合には、心臓の異常がないかなど検査のため、心電図やレントゲン検査、エコーをおこないます。食事療法・運動療法・薬物療法を用いて治療します。

 

コレステロール、中性脂肪、脂質異常症
LDLコレステロール(悪玉コレステロールと言われています)

発熱

 発熱とは様々な要因により体温調節中枢に障害が生じて、体温が平熱時より高い状態に維持されている状態をいいます。発熱の多くは細菌やウイルス感染による発熱です。悪性腫瘍、自己免疫疾患など他の病気が原因で発熱を引き起こしている事もありますので、適切に初期評価を行う必要があります。
決して自己判断せず一度医療機関までお越し下さい。

発熱 コロナ感染症 インフルエンザ感染症
発熱は万病のもとです。早めの受診を心がけましょう。

不眠症(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難)

 

 

 

 日本人を対象にした睡眠に関する調査では、5人に1人が自分は不眠の状態にあると感じ、10人に1人は、長期間にわたって不眠症に悩まされていると報告されています。また、年を重ねるごとに何らかの睡眠問題を抱えている割合は大きくなり、60歳以上の方では3人に1人が睡眠問題で悩んでいます。

 上記の通り不眠症(睡眠障害)は珍しい状態ではなく、誰でも、環境やストレスにより不眠症(睡眠障害)を発症する可能性があります。不眠症は「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」の4つのタイプに分けられます。また、これらの症状は1つに限られるわけではなく、合わさって出ることもあります。

 

【入眠困難】

 

入眠困難は、なかなか眠りにつけないタイプの不眠症です。健康な人が消灯してから入眠するまでの時間は30分以内程度が一般的と言われていますが、入眠困難の方は寝ようとしてもなかなか眠りにつけない状態です。診断の目安としては、就床後1時間以上眠れない場合に入眠困難を疑います。不眠症を訴える患者さまの中で最も多いのがこの入眠困難です。特に不安や緊張が強いときに起こりやすいと言われています。

 

【中途覚醒】

 

いったん眠りについても、翌朝起きるまでの間、夜中に目が覚めてしまい再入眠が出来ない場合、中途覚醒を疑います。年齢を重ねると眠りが浅くなって目覚めやすくなります。そのため、中高年から高齢者に多く見られる症状です。また、睡眠時無呼吸症候群、脳変性疾患などが原因となっている場合もあります。

 

【早朝覚醒】

 

起きる予定の時間より、2時間以上前に目が覚め、その後眠ることが出来ない症状です。高齢者に多く、夜遅くまで起きていることが辛くなるので早寝早起きになっていきます。

 

【熟眠障害】

 

眠りが浅く、十分な睡眠時間のわりに熟睡感が得られない症状です。寝ているのに、全然疲れが取れない、眠った気がしないと感じる状態です。眠りの要素には「時間」と「質」の2つがあり、本当に必要なのは「時間」よりも「質」の方だと言われています。十分に深い睡眠が取れたときには短時間でも疲れが回復し、反対に質の低下した眠りはどれだけ眠っても疲れが取れず、かえって体がつらくなってしまうことがあります。眠りの質が低下している原因として、睡眠時無呼吸症候群や夜間頻尿などが関係している場合があります。また、熟眠障害の方は他のタイプの不眠症を伴っているケースが多いのも特徴です。

不眠症
不眠症は仕事の効率を下げます。注意しましょう。

頭痛(片頭痛、筋緊張性頭痛、群発性頭痛、脳出血、クモ膜下出血)

 日本人の約4,000万人が慢性的な頭痛に悩まされていると言われています。身近な存在なので、「たかが頭痛」と軽く考えてしまいがちですが、悪化すると日常生活に支障をきたしますし、その裏には命に関わる病気が隠れているかもしれません。頭痛の原因はさまざまで、原因によって予防法や治療法が大きく異なるため、一歩間違えると痛みを悪化させる逆効果になってしまいます。片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛は、専門的には機能性頭痛と呼ばれ、処方薬でコントロールをしていきます。頭痛の原因は、頭部の血管の収縮や拡張によって引き起こされるものや、肉体的・精神的なストレスによって引き起こされるものなどさまざまあり、問診、身体診察などでどのタイプか判断していきます。.

 

 

【片頭痛】

 

頭の片側または両側に、ズキズキとした頭痛が起こります。吐き気を伴い、一定期間に渡って繰り返し起こる頭痛。月に1~2回、週に2~3回起こることが多い強い頭痛です。持続時間は長ければ、72時間続くことがあります。20代から40代の女性に非常に多く見られます。

 

【緊張型頭痛】

 

緊張型頭痛は、肩や首の締め付けを伴う、毎日起こる頭痛です。毎日起こる頭痛ではありますが、仕事や日常生活に支障をきたすほどの痛みではありません。精神的、肉体的なストレスが頭痛の引き金になることもあり、「頭の周りが締め付けられるような感じ」と表現されることが多いです。デスクワークの方で、肩こりなどのつらい症状があるかたに多い頭痛です。

 

【群発性頭痛】

 

片側の目の奥に激しい痛みがある。"目をえぐられるような"、"柱に頭をぶつけたくなるような "と表現される片側の目の奥の激しい痛みが特徴の群発頭痛。涙が出たり、目が赤くなったり、鼻水が出たりすることもあります。多くの場合、年に1~2回、1~2ヵ月の期間で、毎日のように激しい頭痛が起こります。上記の頭痛のタイプからみると罹患者数は少ないです。

 

 

クモ膜下出血、細菌性髄膜炎、脳出血、即答動脈炎、緑内障、脳腫瘍などでも頭痛は生じこれらの疾患は生命にかかわる疾患です。

頭痛の中には命に係わる頭痛もあります。困ったときは受診してください。
頭痛の中には命に係わる頭痛もあります。困ったときは受診してください。

高尿酸血症(痛風発作)

   


 血液中の尿酸が高い状態が高尿酸血症です。 痛風や腎結石、尿路結石の原因であるほか、高尿酸血症がある人では、肥満や高血圧、脂質異常症、高血糖を複合的に合併することが多くなっています。 血液中の尿酸が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます  。 尿酸が高いだけでは、自覚症状はありませんが、進行していくと、結晶となった尿酸が関節・足先や耳たぶなどにたまります。 そしてその部分に炎症が起こり、激痛の痛風発作が起こります。 また腎臓にたまって結石ができると背中に痛みが生じ、尿管や膀胱に移行するとその部分で炎症を起こし、激痛を生じます。 尿管で起こった場合は尿管結石、膀胱で起こった場合は膀胱結石といい、これらを合わせて尿路結石と言います。

痛風発作
中指の発赤が通風発作による炎症です。

膀胱炎(血尿、尿潜血)

 

 

 一般的な症状として、排尿痛、頻尿、尿意切迫感(突然我慢できないほどトイレに行きたくなること)、残尿感、下腹部痛や、尿の混濁がみられるます。血尿が出ることもありますが、発熱はあっても軽度です。膀胱炎は、細菌により発症します。主に直腸に常在している菌が、肛門から尿道を経由して膀胱へ侵入し感染することで膀胱炎が起こります。膀胱に侵入した細菌は、膀胱粘膜組織内に入り細胞を破壊して炎症が生じ、膀胱炎が発症します。基本的には抗生剤治療をおこないます。女性に多い病気です。

膀胱炎、出血性膀胱炎、血尿
大腸菌が膀胱炎の原因菌になることが多い

花粉症、アレルギー性鼻炎

 

 

アレルギー性鼻炎とは、鼻汁、鼻づまり、咳の3つの症状を主とするアレルギー疾患です。主な原因として、空気中に浮遊する花粉やハウスダストなどの原因物質であるアレルゲンを吸い込み、その成分が鼻の粘膜から体内に入ることによって起こる免疫防御機能によるアレルギー反応です。

 

 アレルギー性鼻炎には、スギ花粉やヒノキ花粉などが原因となり毎年同じ季節に起こる花粉症と、自宅などのハウスダスト、ペットのふけなどが原因となり、季節に関係なく起こる通年性アレルギー性鼻炎があります。

 

 アレルギー性鼻炎は、放置すると鼻づまりが長時間続き、それが原因でさらに不眠、仕事に集中でいないなどの日常生活に支障をきたす可能性があります。身体的症状は、透明でさらっとした鼻水、発作的で連続するくしゃみ、鼻づまり、目のかゆみが現れます。朝方に症状が現れること多いです。

花粉症に関して、春の代表的な花粉といえばスギやヒノキですが、スギは冬から飛びはじめます。また、夏はシラカンバ、秋はブタクサやカナムグラなど、地域によって異なりますが、アレルギーを引き起こす花粉は一年中飛んでいます。通年性アレルギー性鼻炎は、季節と関係なく年中続くアレルギー性鼻炎です。アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)は、人によって、さまざまですが、主にハウスダスト(室内塵)が原因とされています。有病率は、アレルギー性鼻炎全体では3人に1人の割合で何らかの鼻炎症状を持っています。

 

 一般的な抗アレルギー薬は服用すると眠気を生じ口が渇くなどの副作用があるものもあります。お薬に関しては、相談しながら、できるだけ効果があり副作用が許容範囲のものを選択していきます。また、当院では、スギ花粉ダニアレルギーに対して、舌下免疫療法という根治しうる治療も行っています。どちらを選択するかは、一緒に相談してきめていきましょう。なお、マスク着用などのセルフケアだけでは十分に抑えることが難しい花粉症の症状は、本格的に花粉が飛び始める前や、症状が軽いうち、鼻炎症状がひどくならないように対策をしていきましょう。


じんま疹、発疹

じんましん(蕁麻疹)とは、時間が経つと跡を残さずに消える赤い発疹のことです。かゆみを伴います。食物や薬のアレルギーならびに虫刺されでも起こります。原因が分からないものも多いです。顔のむくみや息苦しさがある場合はアナフィラキシーという重症なアレルギーの可能性もあるので注意が必要です。原因が分かっている場合には、原因物質との接触を避けることが大事です。抗アレルギー薬やステロイドなどで治療されます。

 

 

★特発性じんましん(原因の特定が難しい:76.9%)

 

 

【急性じんましん】

 

6週間以内に軽快する

特に子供では感染した後に出てくることが多い

原因が特定されなくても治療がされていれば改善する

 

  

【慢性じんましん】

 

6週間以降も続くものがある

夕方から夜間にかけて出現するものもある

感染や食物・ストレスや自己抗体などが原因だが、特定は多くは難しい

期間は数か月から数年かかることもある

 

 

 

【アレルギー性じんましん】

 

食物や薬品、昆虫の毒素などがきっかけで起こる

通常は摂取して1~2時間後に出現する

一部、納豆、哺乳類肉、アニサキスによるアレルギーでは1日遅れて出てくることもある

 

 

【食物依存性運動誘発アナフィラキシー】

 

特定食物から2~3時間以内に運動することで出てくるアナフィラキシー反応である

原因は日本では小麦・エビが多い

年齢は10歳台の報告が多い

食事と痛み止めの組み合わせで誘発されることがある

      

 

【非アレルギー性じんましん】

 

通常のアレルギー経路をとらないため、I型アレルギー検査で原因物質を同定できない蕁麻疹

ときに、サバやタケノコの摂取などが有名である

 

 

【アスピリンじんましん】

     

アスピリンをはじめとする痛み止めの内服や塗り薬などで誘発される蕁麻疹

 

 

【物理性じんましん】

   

皮膚表面をすったり、日光にあてたり、寒冷刺激などで誘発される蕁麻疹

 

 

【コリン性じんましん】

   

入浴や運動・精神的緊張など、発汗や発汗を促す刺激によって生じる蕁麻疹

多くは数分から2時間以内に消えることが多い。

くちびるや目がむくむこともある

小児から30代前半までの成人に多い

 

 

【接触じんましん】

 

 皮膚や粘膜が特定の物質と接触すると、接触した部位に一致して出現する蕁麻疹

 

 

【血管性浮腫】

   

皮膚や粘膜の限られた場所に出現する深い所からのむくみのこと

数日以内になくなるが、顔面やくちびる・目に好発する

 

 

蕁麻疹 発疹
「膨疹」という蕁麻疹に特徴的な皮疹です。かゆみのある発疹は移動したり、消退、出現を繰り返します。

水虫(白癬菌感染症)、爪白癬、いんきんたむし

水虫は、カビの一種である白癬菌に感染することで起こります。とはいえ、例えば水虫を持つ人と同じバスマットを使うなどして白癬菌が足に付着しても、すぐに発症するわけではありません。白癬菌が付着した状態が続き、菌が増えやすい環境が整うことで水虫にかかります。

 

白癬菌の増殖を促す要因としては、次のようなことがあげられます。

①高温・多湿な環境

②足の指の間隔が狭く、蒸れやすい

③小さな傷がある

④皮膚のバリア機能が低下している

⑤長靴やブーツ、分厚い靴下などを長時間履く

また、同居している人が水虫になっていたり、ジムやプールなど多くの人が裸足で歩く場所に行くことが多かったりすると、感染のリスクも高まります。

 

水虫にかかっている人は、日本では約2,500万人いると推定されています。

もともと水虫は成人男性に多い疾患でしたが、最近では男女差が少なくなり、女性の3人に1人が水虫になっているという報告も見られます。とくに、ブーツやパンプス、ストッキングなどを長時間履く人は注意が必要です。蒸れた状態が続くと、水虫に感染しやすくなります。気をつけてくだあい。また、家族内に蔓延しないよう、治療をしっかりとしましょう。

 

 

★爪(爪白癬)

爪水虫のことです。足の親指の爪によく見られます。足の水虫が原因で起こることが多く、爪の先が白くにごって爪の付け根にも広がるタイプや、爪の真ん中にできた傷から感染して広がるタイプ、爪の付け根から広がるタイプがあります。爪がもろくボロボロになったり、分厚くなって通常の爪切りでは切れなくなったりすることもあります。

 

★股部白癬(いんきんたむし)

成人男性によく見られ、多くは足の水虫に併発します。太ももあたりから陰部、お尻に小さな水ぶくれや赤い発疹が広がります。かゆみが強いのが特徴です。

 

★頭部白癬(しらくも)

最近では、柔道などのスポーツ選手で感染するケースが増えています。発症すると楕円状に髪の毛が抜けたり発疹ができたりするほか、フケのようなものが見られることもあります。

 

★体部白癬(ぜにたむし)

胴体や顔、首、手足の甲などにできる白癬のこと。かゆみを伴う小さな水ぶくれや発疹が、輪状に見られます。輪の中心部は、軽い色素沈着を残して回復する傾向があります。

爪白癬
爪白癬
白癬菌感染症(みずむし)
白癬菌感染症(みずむし)

貧血(鉄欠乏性貧血など)

 貧血は何らかの原因で体内を循環している赤血球の容量が減少した状態です。赤血球が全身に十分な量の酸素を運搬できず、倦怠感やめまいなどの症状が現れます。貧血の中で一番多い貧血は鉄欠乏性貧血です。この貧血は、赤血球細胞内の重要なタンパク質であるヘモグロビンを構成する鉄が不足して起こります。日本では頻度の高い貧血で、成人女性の約25%が発症しているといわれています。鉄不足の原因として、偏食や胃腸切除などによる吸収低下、月経などの性器出血や消化管出血による排泄増加、成長期や妊娠・授乳に伴う需要増加が挙げられます。

 

 鉄欠乏状態が進行すると、全身の倦怠感やめまい、耳鳴り、動悸、息切れなどの自覚症状、顔面の蒼白などの他覚症状といった貧血の症状が現れます。それ以外にも、さじ状爪や舌炎、口角炎、嚥下障害、異食症のような症状が見られます。

 

 鉄欠乏性貧血は採血してヘモグロビン(Hb)の量で診断されます。成人男性や新生児ではHb13g/dl以下、成人女性や学童ではHb12g/dl以下、高齢者や乳幼児ではHb11g/dl以下だと診断されます。また、Hb7~8g/dl以下になるとほとんどの患者さんに症状が見られます。ただし、急性出血の直後では、検査時点でHb値がまだ下がっていないこともあるので注意が必要です。

 

 原因としては、閉経前の女性であれば、過多月経が原因であることが多いです。治療は、鉄の量を増やすために鉄剤投与をおこないます。副作用は、吐き気や軟便の消化器症状が主です。便が黒くなるので驚かないでください。治療は長期的な鉄剤投与の必要性があります。

 

鉄欠乏性貧血 貧血 過多月経 
若い女性に多いです。ふらつき、息切れの症状があります。

骨粗鬆症(圧迫骨折)

 

身長が毎年縮んでいる方はいないでしょうか。骨粗鬆症の可能性があります。

骨粗鬆症は、骨がもろくなる病気で、骨を作る細胞と壊す細胞のバランスが崩れることが原因です。閉経後の女性に多いです。骨粗鬆症人が転倒したときには骨折しやすくなっているので、転倒予防が必要になります。

病気の原因はホルモンのバランスの崩れやカルシウムの低下、ビタミンDの低下などが関わっています。骨折してしまう前に骨の強度を高くする必要があり、食事療法や運動療法、薬物療法などが有効です。

骨粗鬆症が心配な人は是非相談しに来てください。

骨折は日常生活の質を低下させるので、骨折には気を付けましょう。

睡眠時無呼吸症候群(中途覚醒)

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何回も無呼吸になってしまう病気です。無呼吸状態になることで、一時的に全身が低酸素状態におちいります。睡眠状態を悪化させるだけでなく、体へのストレスもかかる病気です。

2012年におきた関越自動車道で起きたバス事故は、ご記憶されている方もいることかと思います。バスが高速道路脇の壁に衝突しておきた事故で、乗客7名が亡くなり38名が重軽傷を負いました。この時の運転手が、睡眠時無呼吸症候群による重度な眠気のせいで居眠り運転をしてしまったことから、世間の注目を集めました。

このように絶対寝てはいけない時に眠くなってしまう病気のため、仕事や私生活などに大きく支障を生じてしまいます。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の呼吸状態を検査することで診断することができます。まずは自宅で簡易検査を行い、明かな結果でなければ本格的な検査を行っていきます。睡眠時無呼吸症候群と確定したら、CPAPという呼吸器をつけて就寝する治療をおこないます。


逆流性食道炎(胸やけ)

 

 

 逆流性食道炎とは、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することで食道に炎症が生じる病気です。食道と胃の境目には下部食道括約筋があり、食道を通った飲食物が胃へ流れ込むとき以外は閉じられ、胃の内容物が食道へ逆流することはありません。しかし、下部食道括約筋が緩むことで胃の内容物の逆流が生じます。 胃粘膜からは酸性度が高い胃酸が分泌されています。胃粘膜は胃酸の刺激に耐えうる構造をしていますが、食道粘膜は胃酸に耐えらないため、胃の内容物が逆流して胃酸にさらされると食道粘膜に炎症が生じます。本来は食道と胃の境目にある下部食道括約筋がきつく閉じられているため、胃の内容物が食道へ逆流することはありません。しかし、加齢による筋力低下、肥満、衣類による締め付けなどで胃が圧迫されること、食べ過ぎや早食いなどが原因で下部食道括約筋が緩むと胃の内容物が逆流し、逆流性食道炎を引き起こします。 

代表的な症状は、胸やけや呑酸、食後の胸痛です。また、就寝中に慢性的な逆流が生じている場合などは咳、声のかすれ、喉の違和感なども生じます。 

治療は、胃酸の分泌を抑える薬や胃のはたらきを改善させる薬などを用いた薬物療法です。また、生活習慣を見直すことも必要です。


ピロリ菌感染/慢性萎縮性胃炎

 

ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌です。胃には強い酸(胃酸)があるため、昔から細菌はいないと考えられていました。1982年にオーストラリアの医師が胃の粘膜からの細菌培養に成功し、ピ口リ菌が胃の中に生息していることを報告しました。その後のさまざまな研究から、ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関わっていることが明らかにされてきました。

 日本でのピ口リ菌感染率は、上下水道が十分普及していなかった時代に生まれた団塊の世代以前の人は高いですが、若い世代の感染率は低くなり、10代、20代では欧米とほとんど変わらなくなってきました。

ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されていますが、ほとんどの人は自覚症状はあリません。ピロリ菌の感染による炎症が続くと、感染部位が広がってヘリコパクター・ピロリ感染胃炎になリます。長い期間炎症が続くと、胃粘膜の胃酸などを分泌する組織が消失した状態(萎縮性胃炎)になります。さらに進むと、胃粘膜は腸の粘膜のようになリます。その後、一部の患者さんでは、胃がんになることも報告されています。また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんの多くは、ピ口リ菌に感染していることがあり、潰瘍の発症ならびに再発に関係していることがわかっています。

 ピロリ菌の除菌は、薬を服用することにより、ピロリ菌を退治する治療を除菌療法といいます。これまで慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発は、やっかいな病気と考えられていました。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の人がピロリ菌に感染している場合、この除菌療法を行うことによって、完全というわけではあリませんが、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発が抑制されることがわかってきました。

 日本人のピロリ菌感染者の数は約3,500万人といわれています。多くのピロリ菌感染者は、自覚症状がないまま暮らしています。日本ヘリコパクタ一学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のため、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。

 

ピロリ菌(H.pylori ) 電子顕微鏡写真
ピロリ菌(H.pylori ) 電子顕微鏡写真

不整脈(心房細動)

 不整脈とは、脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態を指し、脈が1分間に50以下の場合を徐脈、100以上の場合を頻脈といいます。乱れた脈は、状況によって脳梗塞予防の抗凝固薬を服用する必要性があることもあります。不整脈にはたくさんの種類がありますので、しっかりと診断をつけることが大切です。

当院には不整脈を検出するホルター心電図があります。気になる方はご相談ください。
当院には不整脈を検出するホルター心電図があります。気になる方はご相談ください。

心不全

 

 

心不全とは、心臓が悪いために、下腿の浮腫、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。心不全の背景には心臓弁膜症、狭心症、不整脈、などの心臓病が隠れています。できるだけ増悪しないように、日々心臓に負担をかけないように内服薬で調整する必要があります。


狭心症/心筋梗塞

 

 

【労作性狭心症】

 

労作性狭心症とは、心臓の冠動脈が動脈硬化により狭くなり、十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気です。階段を上がったり、重いものを持ったときなどに胸に痛みや圧迫感を覚えます。放置しておくと心筋梗塞に至ることもあり早めの発見、治療介入が必要です。

 

【冠攣縮性狭心症】

 

冠動脈には高度の狭窄がなくても冠動脈の痙攣が原因で生じる狭心症です。喫煙が最大の原因と考えられています。治療は禁煙がまず必要です。

 

【急性心筋梗塞】

 

心臓を養う血管である冠動脈が閉塞して心筋に障害が生じており持続的な胸部の絞扼感、痛みが生じます。緊急での対応、治療が必要な疾患です。

心電図(正常範囲内)
心電図(正常範囲内)
心筋梗塞、狭心症は、胸が痛くなります。
心筋梗塞、狭心症は、胸が痛くなります。

気管支喘息

 

 

  気管支喘息は主にアレルギーによって口から肺までの空気の通り道(気道)が狭くなる病気です。気道に炎症が起こることにより狭くなり、何らかの刺激を受けると更に気道は狭くなります。これを気管支喘息急性発作といい、呼吸の状態は非常に悪くなります。治療は、慢性的な炎症を起こさせないことと、発作時、気道の炎症を抑えることの両方を満たす必要があり、ステロイドの吸入やβ刺激薬の吸入を使います。状況によってはアレルギーを抑える内服薬も服用します。症状は息切れ・咳・ゼーゼー、ヒューヒューなどの音がする喘鳴などがあります。また、たばこは、喘息発作を誘発させることがあるので、ぜひ禁煙をお勧めします。当院では、吸入治療の導入ならびに生活習慣の改善のためのお手伝いをさせていただきます。

喘息治療 吸入
喘息は、最悪の場合死に至ります。
このようなディバイスで治療します。
このようなディバイスで治療します。

  喘息のひとつの特徴としては、胸に耳をあてると、「ヒューヒュー、セーゼーという音(喘鳴)」が聞こえてきます。風邪をきっかけに、咳がひどく長引いている、咳がひどくて寝付けないなどの場合には、喘息の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 2014年の喘息の推定患者数は、約118万人で、約4割が20歳未満と、若い人に多い疾患です。また、成人後に発症するケースも多くあります。

厚生労働省人口動態調査によると、喘息による死亡数は、1995年に7253人とピークを示したのち、徐々に減少し、2015年には1551人です。死亡数1551人のうち、約9割は65歳以上の高齢者です。

 このように、喘息は重症の場合、命の危険につながることもありますが、喘息による死亡数が減少しているのは、医療が進歩し、ステロイド吸入薬など、治療薬が充実してきたためだと考えられます。喘息は、日常生活に支障がでないように、発作時の対応はもとより、合わせて長期に渡って、発作がでないように治療を継続していくことが大切です。


慢性閉塞性肺疾患

準備中


肺炎(市中肺炎、誤嚥性肺炎)

肺炎は、気管支や肺胞に、細菌が届き、そこで炎症を起こしている状態です。肺炎と区別される気管支炎はウイルスが原因となり、肺炎の原因は細菌におって起こることが多いとされます。高齢者に多い疾患であり、90歳以上の男性では死因の第1位になっています。嚥下機能が衰えるため飲み込み機能が落ちてしまい誤嚥がが原因となる肺炎もあります。これを誤嚥性肺炎と言います。発熱、咳、痰などの症状を認めます。時に低酸素血症、食欲不振をきたし、重症化することがあります。細菌性肺炎の場合は早期に適切な抗菌剤をおこなうことが治療のカギとなります。インフルエンザ予防接種、コロナワクチン、肺炎球菌ワクチンも積極的に受けましょう。

細菌性肺炎の症例
細菌性肺炎の症例
右下肺野の浸潤影
右下肺野の浸潤影